PTSD|ふさのくにメンタルクリニック|心療内科・精神科|京成新千葉駅3分
PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは
PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは、命の危険を感じるような強い恐怖や衝撃的な出来事(トラウマ体験)を経験した後、その記憶が心に深い傷として残り、日常生活にさまざまな支障をきたす精神疾患です。
災害、事故、暴力、虐待、戦争、犯罪被害など、強いストレスや恐怖を伴う出来事がきっかけとなりますが、同じ出来事を経験しても全ての人がPTSDになるわけではありません。
症状は体験直後に現れることもあれば、数ヶ月や数年後に現れることもあり、時間が経過しても心の傷が癒えず、苦しみ続けることがあります。
PTSDの原因・要因
PTSDの原因は、強烈な恐怖や衝撃を伴う出来事(トラウマ体験)です。以下のような要因が関係するとされています。
トラウマ体験
- 自然災害(地震、津波、台風など)
- 交通事故や労働災害
- 暴力や虐待(身体的・性的・心理的虐待)
- 犯罪被害(強盗、暴行、ストーカー被害など)
- 戦争や紛争体験
- 目の前で他者が重大な事故や暴力に遭う
心理的要因
- トラウマ体験に対する恐怖心の強さ
- ストレス耐性や対処スキルの不足
- 完璧主義や自己否定感
生物学的要因
- 脳の扁桃体(恐怖を司る部分)の過活動
- 脳内の神経伝達物質のバランス異常
- 遺伝的要素
社会的要因
- 周囲のサポート不足
- トラウマ後の孤立や孤独感
- 偏見や理解不足
PTSDは、出来事の大きさや種類だけでなく、その後のサポート体制や本人の心理状態、過去の経験などが複雑に関与して発症すると考えられています。
PTSDの症状
PTSDの主な症状は大きく以下の3つに分類されます。
侵入症状(フラッシュバック)
- トラウマ体験が突然、鮮明に思い出される(フラッシュバック)
- 悪夢や恐ろしい夢を見る
- 体験を思い出すきっかけとなる場所や物、人に対して強い恐怖や不安を感じる
- トラウマ体験の感覚(匂いや音など)がリアルに蘇る
回避・麻痺症状
- トラウマ体験を思い出させる状況や場所を避ける
- 感情が麻痺し、喜びや悲しみを感じにくくなる
- 人との関わりを避け、引きこもりがちになる
- 未来に希望を感じられなくなる
過覚醒症状
- 常に警戒心が強く、リラックスできない
- 睡眠障害(不眠や悪夢)
- 些細なことでイライラしたり、怒りっぽくなる
- 集中力が低下し、注意散漫になる
これらの症状は数週間以上持続し、日常生活や仕事、人間関係に深刻な影響を及ぼします。
PTSDの治療とサポート
PTSDは適切な治療やサポートを受けることで改善が期待できる病気です。以下のようなアプローチが有効です。
1. 心理療法(カウンセリング)
- 認知行動療法(CBT):トラウマ体験に対する認知の歪みを修正し、不安を軽減する
- 暴露療法:安全な環境下でトラウマ体験を振り返り、恐怖を克服する
- EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法):トラウマ記憶を処理し、感情的反応を軽減する
2. 薬物療法
- 抗うつ薬:不安やうつ症状を軽減する
- 抗不安薬:過度な不安や緊張を和らげる
- 睡眠導入剤:睡眠障害を改善する
3. 生活習慣の改善
- 規則正しい生活リズムを保つ
- 適度な運動を取り入れる
- 十分な睡眠を確保する
4. 周囲のサポート
- 家族や友人による理解と協力
- 安心して過ごせる環境づくり
- 無理に過去の出来事を話させない
PTSDは治療について
PTSDは決して「心が弱いから」起こる病気ではありません。トラウマ体験は誰にでも起こりうるものであり、適切なサポートを受けることで症状は改善することが多いです。
少しでも心に違和感や不安を感じたら、一人で抱え込まず、専門家に相談することが大切です。回復には時間がかかることもありますが、安心できる環境の中で少しずつ前に進むことが大切です。